2023/08/04 更新 お知らせ
医療用ベッドの搬送アシスト装置「Bed Mover-Magical」が読売新聞に掲載されました。

弊社と大成建設株式会社は、共同で医療施設で使用するベッドの搬送アシスト装置「Bed Mover-Magical」を開発しました。

本装置は、医療従事者が通常2人で行うベッド搬送を1人でも安全・簡単に実施できるため、ベッド搬送における医療従事者の身体的負担の軽減および人員不足の緩和に寄与します。

医療施設では、手術や各種検査、病棟間移動のために入院患者を医療用ベッドで搬送する機会が数多くあります。

医療用ベッドは総重量が200~300kgあり、通常は医療従事者が2人がかりでベッドの前後に付き添って人力で搬送しています。

そのため、ベッド搬送を省力化することができれば、医療従事者の身体的負担を軽減できるだけでなく、搬送に費やす人員や手間が解消され医療従事者が本来行うべき業務により多くの時間を充てることが可能となります。

一方、諸外国ではベッド搬送をアシストする装置の導入事例もありますが、海外製の装置は本体寸法が大きく、ベッドに取り付けて搬送する際に建物空間や付帯設備などの制約条件から国内の医療施設での適用は困難とされてきました。

そこで弊社と大成建設株式会社は、国内医療施設の建物条件を考慮した独自のベッド搬送アシスト装置「Bed Mover-Magical」を開発しました。本装置は複数の安全機構を装備するとともに、独自の動力機構と3種類の走行モードの採用により、医療従事者1人でも必要最小限の力加減で簡単・安全かつ安心にベッド搬送を行うことが可能です。

■本装置の6つの特徴

1.ベッドフレームからはみ出さない装置形状・寸法を実現

本装置はベッドフレーム長手方向下部に取り付けた専用治具を介してベッドに装着します。本体がベッドフレームから外にはみ出さない形状・寸法のため、本装置を装着した場合に移動への影響がなく、病室の出入り口や小型寝台エレベータ等の狭い場所でもベッドが通行できる場所であれば使用できます。

2. 独自の動力機構により搬送時の軌道安定性を確保

本装置の駆動輪はベッド長手方向(進行方向)と同じ向きに設置されており、独自の動力機構によりベッド搬送時の直進や曲がる際の軌道を安定させて走行を制御できます。そのため、必要最小限の力加減で無理なく思い通りの方向にベッドの移動・搬送が可能です。これまでに実施した病院内での医療従事者によるベッド搬送テストでは、「走行がとても軽い」、「コーナリングが楽」、「腰への負担が軽減する」などの感想が示されました。

3. スロープの移動でも安全・容易に搬送が可能
病棟間の移動などのベッド搬送でスロープや勾配のある廊下を通行する場合には、本装置は最大3度の勾配まで対応可能としています。傾斜を自動で検知して駆動輪の動作を制御するため、余分な力をかけず容易に搬送することができます。万一、スロープの途中で手を放した場合でもその場で停止状態となるため、安全に搬送することが可能です。

4. タッチパネルで3種類の走行モードを簡単に切り替え可能
本装置の操作はベッドボードに取り付けた操作ユニットを用いて行います。ベッド搬送時の走行モードは、アシスト走行、電動走行、手動移動の3種類で、搬送状況に合わせて操作ユニットのタッチパネルにより簡単に切り替え可能です。

  • アシスト走行モード:ベッドを押す力を検知して移動でき、アシスト強度も調節可能です。
  • 電動走行モード:ボタン操作により力を加えることなく自動で移動(前進・後進)します。
  • 手動移動モード:装置を取り付けたままの状態で手動により全方位に移動できます。

5. あらゆる搬送状況を想定して複数の安全機構を装備

本装置はあらゆる搬送状況を想定して複数の安全機構を装備しています。医療従事者がベッドボードを把持しているかどうかは操作ユニットに付属した赤外線把持センサーで検知し、把持していない場合には搬送を停止することで、誤作動のリスクを排除します。緊急時はタッチパネル横の緊急停止ボタンを押すことで安全に即時停止します。さらに万一、操作を誤って医療従事者が壁とベッドの間に挟まれるような状況になった場合は操作者接触センサーが作動して緊急停止します。これらに加えて、平地やスロープでの速度制御、緊急停止制御などの安全機構を備えており、医療従事者が患者の様子を確認しながら1人で安全にベッドを搬送することができます。

6. 型式の異なる医療用ベッドでも治具の変更で装着が可能
医療施設に導入されているベッドの型式が同一ではない場合でも、ベッドに取り付ける治具を変更することにより本装置を装着できるため、複数型式のベッド搬送にも使用可能です。

今後大成建設は、本装置のレンタルを含めた販売開始を目指し、2023年度後半より国内の複数病院にて本格導入に向けた運用評価を開始します。また、「1人でも簡単・安全・安心に」をコンセプトに開発した本装置の導入について、製造・販売・保守体制を整備し、医療従事者の労働環境改善に寄与するため、早期の社会実装を目指してまいります。